R5年度技術士(建設部門_必須)(8)勉強法〜デジタル田園都市国家構想~

デジタル田園都市国家構想総合戦略

今回は、直接的に技術士(建設部門)に大きく関わるわけではないですが、背景として政府の大きな方針を知っておき、論文試験でも入口の話題として触れられるとよいかなと思い、2022年末に定められた『デジタル田園都市国家構想総合戦略』を取り上げたいと思います。

まずは、概要を見ていきましょう。
かなり細かい資料になっていますが、総合戦略のポイントは
・地域の個性や魅力を生かした地域ビジョンを再構築(地方版総合戦略の改訂)
・必要な施策間の連携をこれまで以上に強化
・デジタルの力も活用した地域間連携の在り方や推進策を提示
といったところでしょうか。すべての各府省の施策が含まれている感じなので、捉え方が難しいですよね。
次からは建設分野に係る部分を中心に見ていきましょう!

ここでは、主要なKPIが示されています。
例えば、地方のデジタル実装に向けたKPIとしては、
・新たなモビリティサービスに係る取組が行われている地方公共団体:700団体(2025年まで)
・物流業務の自動化・機械化やデジタル化により、物流DXを実現している物流事業者の割合:70%(2025年度)
・3D都市モデルの整備都市:500都市(2027年度まで)
などがあげられています。
地域ビジョンの実現に向けたKPIでは、
・スマートシティの選定数:100地域(2025年まで)
・地域限定型の無人自動運転異動サービスの実現:50箇所程度(2025年度目途)、100箇所以上(2027年度まで)
などがあげられていますね!

これだけでは何かよくわからないので、国交省_建設部門に関係ある部分を中心に具体的な取り組みを探っていきたいと思います。

(出所:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/pdf/20221223_gaiyou.pdf)

国交省_建設部門に係る分野

数あるデジ田施策のうち、国交省_建設部門に係る部分がどこなのかを中心に確認していきましょう。

観光DX

観光は少し建設部門からは離れるかもしれませんが、MaaS等に繋がる部分もあるかと思うので、紹介しておきます。シームレスに予約・決済が可能な地域サイト、移動・宿泊・購買データ等を用いたマーケティングなどは建設部門と少し繋がりがあるかもしれないなと思っています。地域振興策の打ち手の一つとして頭に入れておくのが良いと思います。

地方への移住、定住の推進、関係人口創出・拡大等二地域居住等の推進

テレワークや二地域居住なども直接的に関係してくるものではないですが、地方の魅力向上や活性化の打ち手の1つとして例示であげることに使えたりもするかと思います。

地域交通

地域公共交通は非常に大きな転換期を迎えているので、ぜひ個別でも深掘りしたいテーマですが、ここでは全体像を把握してみると良いでしょう。
・自動運転
・MaaS
・交通GX
といった施策。
「3つの共創(官民の共創、交通事業者間の共創、他分野を含めた共創)」による地域交通のリ・デザインは非常に重要なので、しっかりと押さえておきましょう!

物流・インフラDX、人間中心のコンパクトなまちづくり

物流・インフラDX、人間中心のコンパクトなまちづくりの2つがここでは出てきました。まさに国土交通分野に該当する部分でしょう。ドローン物流、現場作業の遠隔化・自動化・自律化、コンパクト・プラス・ネットワークの取組、まちづくりDXの推進などが例示としてあげられていますね!

地域資源を生かした個性あふれる地域づくり

こちらは少し毛色が違った施策になりますが、地域活性化の取組として、デジタルコンテンツの活用の視点は参考になる部分もあるでしょう(インフラツーリズム等に)

地域循環共生圏の形成、防災・減災、国土強靱化の強化等

防災・減災、国土強靱化の取組について3点、あげられています!
・防災DXに不可欠なデジタル技術を活用した避難計画の策定
・災害対応業務システムをクラウド上に構築し、複数地方公共団体が参画
・G空間情報の活用による統合型G空間防災・減災システムの構築
等があげられています。よく内容を理解しておくと良いでしょう!

重要施策分野(地域交通のリ・デザイン)

重要施策分野に『地域交通のリ・デザイン』が紹介されています。
三豊の事例や朝日町の事例などは深掘りしていくと良いでしょう!

重要施策分野(人間中心のコンパクトなまちづくり)、観光DX

ここでは『人間中心のコンパクトなまちづくり』が紹介されていますね。施策としては
・建築・都市のDXや、3次元空間IDなどの地理情報空間情報との連携を進め、建物内部からエリア、都市スケールレベルまで、シームレスで高精細な「デジタルツイン」を実現。
・これを基盤に都市計画情報、ハザード情報等の官民の様々なデータの蓄積・連携を進め、都市開発・まちづくりのスピードアップや、防災など様々な分野での新サービス創出を図る。
など、非常に盛りだくさんの内容が書かれています。都市分野を受験する方はいずれも重要な施策だと思うので、しっかりと確認しておくことが良いでしょう。その他の分野でもデータ連携の話は回答作成の際触れる機会もあるかと思うので、都市側の動きを把握しておくことで回答に厚みを持たせることができるはずです。今の流行りの施策でもあるので、一度内容を理解しておくことをオススメします!

重要施策分野(地域防災力の向上、ドローン利活用)

デジタル技術を活用した防災力向上については、防災DX、業務のデジタル化、洪水予測や水害リスクマップ、三次元管内図の整備等のデジタル技術を活用した流域治水について触れられていますね。

また、ドローン利活用では、レベル4を目指していくようです。運航管理システム、技術開発、社会実装がキーワードのようですね。

分野横断的な地域間連携の取組(地域生活圏の形成等)

最後に、分野横断的な地域間連携の取組です。地域生活圏は『新たな国土形成計画』の大きな柱でしたが、ここでも出てきました。しっかりと押さえておくと良いでしょう!

(出所:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/pdf/20221223_gaiyou.pdf)

まとめ

とにかく、あらゆる施策が網羅的に入っているなぁという印象です。デジタルに係る各省の主要なイチオシ施策集といった感じですね。
デジタル田園都市国家構想が具体的にどういう中身で構成されているのか一度把握しておくことで、デジタル関連の問が出た際の、論文回答を作成する際の『最近の動き・背景』部分に使えたりもするでしょう。
デジタルの問が出たら触れない訳にはいかない、デジタル田園都市国家構想なので、専門外の部分も含めて全体感を時間のあるうちに押さえておくと良いと思いました!