技術士(上下水道部門)ゼロからチャレンジ(2)~上水道~

2023年1月8日

第4回水道の諸課題に係る有識者検討会(2022年12月27日)

復職後、余裕がなくなったのか、すっかり勉強していなかった『上下水道』について、少しずつ勉強を始めようと思っています。なかなか初心者なので、勘所がわからないところではありますが、興味を持てそうな部分から知識をインプットしていきたいです。
さて、そこで、気になった検討会があったので、資料を読んでみることにしました。その中で個人的に勉強になったなと思った点について、備忘録的にまとめておこうと思いますので、ご興味ある方いらっしゃいましたら読んでいただけると幸いです。

水道の諸課題

本検討会の参考資料で、水道の諸課題についてまとめていただいている資料がありました。
勉強になりましたので、こちらで紹介したいと思います。
水道に関する素人がまずとっかかりに課題を把握するには良い資料だなと思っています。
技術士で論文試験への回答をする際には「課題の引きだしの多さと深さ」がまずは非常に重要だと認識しています。ぜひご参考にしていただけると幸いです。

人口減少社会の水道

まずは、人口減少社会で上水道需要も下がっていくことが示されています。有収水量が2050年には2,760万m3/日になり、ピーク時の約7割にまで下がるという需要予測ですね。
これを踏まえるとインフラ面のスケールダウンや統廃合がまったなしの状況にきているということも理解が進みます。

職員数の減少

次に示されているのが、職員数の減少です。これは技術系職種・土木職でも特に市町村で職員数の減少が取り上げられていますが、上水道事業に携わる職員数も同じような状況のようです。注目したいのは、特に小規模で職員数が少ない水道事業者が非常に多いという点でしょう。
他インフラとは異なり、市町村管理が中心の上水道事業では問題が先行して生じているという理解を私はしました。

水道種類別事業者数の推移

次に事業者数の推移をみていきましょう。簡易水道は大きく減ってきている状況ですが、上水道事業は減っていない状況ですから、これから一層の広域化などが求められていることもここからわかるかと思います。

管路の老朽化

ようやくインフラ面の話が出てまいりました。管路の老朽化の現状です。
老朽化は進展し20%を超えてきている中、更新率は低下してきています。課題は深刻化の一途をたどっている様子がわかりますね。

次は更新需要の推計値のようです。平準化をするにしても非常に厳しい更新の山が今後待っていることがわかります。どのように対処していくのが良いのでしょうか?考え所ですね!

水道施設の耐震化

耐震化の遅れも大きな問題となっているようです。他インフラがそれなりの耐震化率であったり、下水道施設も耐震化率が伸びている中、上水道事業は特に幹線管路については耐震適合状況が進展しておらず、今後の対応に大きな課題があることがわかります。

水道事業の経営状況

経営状況をみてみましょう。私はこういう公営企業の経営という視点を持ったことがなかったので、理解も難しい話ではありますが、一読してみたいと思います。
課題の羅列になりますが
・料金回収率がR2年度は98%で100%を下回っている
・更新需要と比べて投資額が今後不足する可能性がある
・料金値上げ率が上昇し、負担額が今度増大する可能性がある
・適切な料金設定のためには住民理解を得る必要がある
という点があげられるようです。これらを頭に入れて読み進めていきます。

水道料金についてもっと値上げされているかと思っていましたが、近年はわずかな上昇傾向なんですね。
しかし、値上げ、価格転嫁できないと漏水等リスクを抱える可能性が高くなるという課題もあるようです。

原価割れしているか否かをみてみると、小規模な水道事業体ほど経営基盤がぜい弱で給水原価が供給単価を上回っている状況であることがわかります。(全体の約50%。1万人未満では約70%)

将来の水道施設の更新費・修繕費についての資料がここで出てまいりました。これは非常に興味深いですね。更新需要と現状予算を見ると、年あたり約5千億円の差があるようです。これは非常に大きな差ですね。
ダウンサイジングや統合などで解決できるレベルではないような気がします。ある程度の期間、集中的に債務負担行為や財投などの公の投資を大きく入れていくことが必要なのかもしれません。

浄水施設については、ダウンサイジングや統廃合、都道府県単位など広域的な視点での施設の最適配置で、更新費は約35%減、維持管理費は約28%減が見込まれるようです。それでも多額の投資が必要なことには変わりはありませんが、このような対策が待ったなしの状況であることがわかります。

管路の更新費についても同様の傾向なようですね。

水道法改正関連

ここでは、大事な水道法改正関連の概要について理解を進めていきたいと思います。水道の基盤強化のためにはどうするかという点での改正が行われました。

改正概要をみると
1.関係者の責務の明確化
2.広域連携の推進
3.適切な資産管理の推進
4.官民連携の推進
5.指定給水装置工事事業者制度の改善
が主な内容のようです。この動きは大きな動きなので、他のHP等で詳細については勉強していきたいなと思いました。

和歌山市における水管橋崩落事故

これはインパクトのある事故でしたね。振り返ってみると以下のような状況・対応だったようです。

台風15号による静岡県の断水被害

静岡県の断水被害も大きな話題となっていたものでした。こちらは線状降水帯による大雨で取水口の大規模閉塞が起きたことなどによる影響でしたね。

(出所:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001030920.pdf)

水管橋事故を受けた水道施設の維持・修繕に係る検討について

次に水管橋事故を受けた対応についてまとめてありましたので、こちらでご紹介しますね。

これまでの検討内容

この動きは、トレンドなのでしっかりと頭に入れておきたいなと個人的に思った内容です。
今後の維持管理制度の見直し方針案として、
・水道法施行規則の改正(コンクリート並の規制、デジタル原則)
・維持・修繕ガイドラインの作成
がメインの対応となりそうだと理解しました。

(出所:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001030941.pdf)

省令改正

省令(水道法施行規則の改正)については、
・水管橋等に対する規制をコンクリート構造物並に引き上げ
・新技術を活用した目視以外の点検方法も採用できることを明確化
の2点ですね。

(出所:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001030941.pdf)

ガイドライン

ガイドラインについては、省令改正部分を受けた具体的な内容を落とし込んでいくようです。

(出所:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001030941.pdf)

今後のスケジュール

スケジュールとしては令和4年度中(R5.3まで)の省令改正、ガイドライン改訂を目指しているそうです。年度末にまた動きをチェックする必要がありますね!

(出所:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001030941.pdf)

まとめ

以上、今回は上水道における基本的な課題認識と、水管橋事故等を踏まえた省令やガイドラインの改正の動きを見ていきました。これだけでも結構な基礎的な知識が得られたのかなと思っています。
これからもいろいろと興味を持って勉強していきたいと思いますので、皆さんも頑張っていきましょう!