R5年度技術士(建設部門_河川)(6)勉強法〜特定都市河川の指定による流域治水の本格的実践~

特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律(令和3年法律第31号)について

まずは、前提知識として特定都市河川浸水被害対策法等の一部改正の内容を見てみましょう。
以下、4つの柱でそれぞれ対策が位置付けられていますね。
1.流域治水の計画・体制の強化
2.氾濫をできるだけ防ぐための対策
3.被害対象を現象させるための対策
4.被害の軽減、早期復旧・復興のための対策
これらを具体的な施策に落とし込んだものがここで紹介する内容となります。

(出所:https://www.mlit.go.jp/river/kasen/ryuiki_hoan/pdf/gaiyo.pdf)

特定都市河川の指定による流域治水の本格的実践

国交省水管理・国土保全局のHPを見ていたところ、『特定都市河川の指定による流域治水の本格的実践』という非常によくまとめられているサイトが出来ていましたので、こちらでご紹介していきたいと思います。
それぞれの補助事業・税控除等のメニューがイメージとともにわかりやすく解説されていますのでオススメです。

概要

ハード・ソフト一体の水災害対策「流域治水」の本格的実践に向けて、特定都市河川浸水被害対策法に基づく特定都市河川を全国の河川に拡大し、ハード整備の加速に加え、国・都道府県・市町村・企業等のあらゆる関係者の協働による水害リスクを踏まえたまちづくり・住まいづくり、流域における貯留・浸透機能の向上等を推進していきます。

流域水害対策計画に基づくハード対策の加速化

既存の事業を統合・リニューアルすることにより、土地利用規制等のソフト対策を含む流域水害対策計画に位置付けられた国・都道府県・市町村・民間事業者等が実施するハード対策を計画的かつ集中的に実施し、早期に治水安全度の向上を図ります。

雨水貯留浸透施設の整備等の促進(雨水貯留浸透施設整備計画の認定等)

民間事業者が行う等による一定規模以上の容量や適切な管理方法等の条件を満たした雨水貯留浸透施設の整備に係る計画認定制度が創設されました。
地方公共団体や前述の認定を受けた民間事業者等は、流域水害対策計画に基づく雨水貯留浸透施設を整備する場合、予算・税制等の支援を受けることができます。

開発等に伴う雨水流出増に対する流出抑制対策の義務付け(雨水浸透阻害行為の許可)

特定都市河川流域では、宅地等以外の土地で行う1,000㎡※以上の雨水浸透阻害行為(土地からの流出雨水量を増加させるおそれのある行為)に対し、都道府県知事等の許可を受け、流出雨水量を増大させないようにするための対策工事(雨水貯留浸透施設の設置)が義務付けられます。
流出雨水量を現在よりも増加させる行為への対策を義務付けるとともに、流出雨水量を現在よりも減少させるための雨水貯留浸透施設の整備等を促進させることで、流域の貯留浸透機能を効果的に向上させ、浸水被害の防止・軽減を図るものです。
※都道府県等の条例で500㎡以上1,000㎡未満とする範囲内で別に定めることができる

保全調整池の指定

都道府県知事等は、100㎥※以上の防災調整池のうち、雨水を貯留する機能が浸水被害の防止を図るために有用であると認めるときは、保全調整池として指定することができます。
保全調整池に指定されると、埋立て等の保全調整池の機能を阻害するおそれのある行為に対し事前の届出が義務付けられ、都道府県知事等は、届出に対し必要な助言・勧告をすることができます。
また、地方公共団体は、保全調整池と協定を締結し、保全調整池を管理することができます。
※都道府県等の条例で100㎥未満とする範囲内で別に定めることができる。

貯留機能保全区域の指定

都道府県知事等は、河川に隣接する低地その他の、洪水・雨水を一時的に貯留する機能を有する土地の区域のうち、浸水の拡大を抑制する効用があると認められるものを、土地所有者の同意を得た上で貯留機能保全区域に指定することができます。
貯留機能保全区域に指定されると、盛土や塀の設置等の貯留機能保全区域の機能を阻害する行為に対し事前の届出が義務付けられ、都道府県知事等は、届出に対し必要な助言・勧告をすることができます。

浸水被害防止区域の指定

都道府県知事は、洪水等により住民等の生命・身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為及び建築物の建築の制限をすべき土地の区域を、浸水被害防止区域に指定することができます。
指定された土地の区域では、住宅及び要配慮者利用施設等の建築を対象に、居室の床面が想定される浸水深に係る水位よりも高いか、洪水等の作用により建築物が倒壊しないよう安全上必要な措置が講じられているか等を事前許可制により確認することとなります。あわせて、開発段階でも非自己居住用住宅及び要配慮者利用施設等の開発行為を対象に、洪水等に対する土地の安全上必要な措置が講じられているか等を事前許可制により確認することととなります。
また、都市計画法の開発許可においては、浸水被害防止区域における開発が原則禁止となる(災害レッドゾーン)ほか、立地適正化計画においては、浸水被害防止区域を居住誘導区域に含めないこととされています。
そして、被災前に安全な地域への移転等が可能となるよう、浸水被害防止区域内の既存住宅等を対象に、移転や嵩上げ等の改修を行う場合、予算の支援を受けることができます

特定都市河川の指定状況

特定都市河川は、全国で11水系126河川が指定されています。(令和4年7月25日時点)

(出所:https://www.mlit.go.jp/river/kasen/tokuteitoshikasen/index.html)