R5年度技術士(建設部門_必須・河川)(2)勉強法〜令和5年度国土交通省予算決定概要〜

技術士試験に向けた国交省予算決定概要の読み方

技術士試験といえば白書を読んでみるといった方法もあるかと思いますが、やはり仕事・業務にも直結する内容で読みやすくまとまっているもの、絵もふんだんに使われているものの方が良いですよね?
そこでオススメなのが、『国交省の予算決定概要』です。
予算の対前年度伸率も気になるところ(特に皆増)ですが、技術士試験で知識を入れておくべき内容はコラム的に書いてある部分です。自分の専門分野だけではなく、国土交通行政について網羅的に把握することも非常に重要です。ここで得た情報をきっかけに、深堀りしていったりすると体系的に知識も整理できると思いますので、業務にも通じる意味のあるものになるのではないかと思っています。
では、早速読んでいきましょう。

早速読んでみる_令和5年度の注目ポイントは?

さっそく読んでいきます。
最初の基本方針も大事なのですが、文字ばっかりで着目ポイントを一瞬で理解することは難しいと思います。
そこで「コラム的なもの」だけに特化して読んでいくと、内容も面白いですし、頭の片隅にも残るのではないかと思います。ここでは技術士(建設部門)に関係しそうなコラムをピックアップしていきますね!

流域治水

近年、毎年のように一丁目一番地で紹介される流域治水ですが、注目点は、
「特定都市河川の指定を通じた河川への雨水の流出増加の抑制や、民間施設等も活用した流域における貯留・浸透機能の向上、水害リスクを踏まえたまちづくり・住まいづくりなどの取組を強力に推進していきます。また、災害復旧においても、遊水地で洪水貯留を行った後、早期に機能を復旧させるため、堆積土砂等の撤去が可能な制度を創設」
という部分でしょうか。民間施設や災害復旧などにおける取組を調べて具体的に記述できるように準備しておくと良いかと思います。

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

デジタルTEC-FORCE

TECも創設されてから、だいぶ一般的になり、市民権を得た活動になってきているのではないかなと思っています。このようなTECの活動でもデジタル技術が活用され始めていることがこのコラムからは伺えますね。iTECというようです。このあたりも分野に捉われない技術の話なので、知識を入れておいてもよいかもしれません。

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

線状降水帯の予測精度向上に向けた取組の強化

線状降水帯の予測は今のトレンドですよね!令和4年から始まった予測ですが、今後、図のように前倒しでどんどん精度を高めていく(広域→県単位→市町村単位)予定のようです。さらに直前予測も新たな取組として進めていくとのこと。技術的な詳細は私も不勉強なので、この図以上のことはわからないのですが、技術士論文での解決策の一つとして「線状降水帯の予測精度向上」も触れることがあるでしょうから、その時に具体的にこういう予定で進んでいることを把握してしっかりと書ききることができるよう、頭に入れておくと良いでしょう!

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

盛土対策

盛土対策もそろそろ出題されるのではないかなと個人的に思っている分野です。熱海での甚大な被害を受けて動き出した施策ですが、その中でも以下の2つの区域指定の動きは押さえておきたいところですね。
・宅地造成等工事規制区域:市街地や集落など、人家等がまとまって存在し、盛土等がされれば人家等に危害を及ぼしうるエリア
・特定盛土等規制区域:市街地や集落等からは離れるものの、地形等の条件から、盛土等がされれば人家等に危害を及ぼしうるエリア

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

インフラメンテナンス

昨年は笹子から10年、新たな提言が出ましたね。そこでの新たな考え方として、『地域インフラ群再生戦略』という考え方が示されました。これは非常に大きな動きだと感じています。これまで縦割りであったもの、自治体間でやりとりがなかったところに対して、効率的・効果的にインフラをマネジメントしていくための施策として、方向転換がなされたと私は認識しています。これはぜひ本文も読んでおく必要があるでしょう。
R5年度の必須科目を予想するなら一丁目一番地でヤマを張る内容です。オススメ!

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

DX

これも近年の柱で大きな動きですよね。
『インフラDX』『物流DX』『データプラットフォーム』の分けで、具体的な事例を記述できるように準備しておくことが重要でしょう。インフラDXは『ネクスト・ステージ』、物流DXはトラックドライバーへの時間外労働の上限規制適用に向けた動き、を頭の中で整理しておくと良いでしょう。

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

都市のDXは「PLATEAU・3D都市モデル」と「不動産ID」「BIM」の連携が一番の目玉のようです。利用者側のPCスペック等の問題はあるでしょうが、それが技術的にハードルが下がってくるとより一般化が進んでくると思っています。あらゆるユースケース実証が行われているところですので、そちらをチェックしていくだけでもだいぶ語れるようになるのではないかなと思います。試験までにいろいろと公表されていくでしょうから、自分の言葉で語れるユースケースをいくつか準備しておくと良いかと思います!

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

担い手育成・確保

個人的には非常に大きな課題であるし、今、目を向けなくてはならない大事なことだと考えています。なかなか解決策の提示が難しく、今行政側で行われているCCUSであったりも本当に担い手育成・確保に役立つのか、個人的には懐疑的でもあります。しかし、もし出題された場合、何も書けない事態を回避するため、新担い手3法やCCUS、賃上げに繋がっている状況などは理解しておくと良いでしょう。

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

地域公共交通のリ・デザイン(再構築)

これは今年の大臣折衝タマにもなっていた重要施策ですね!交通分野なので、特に旧運輸系イチオシの取組ですね。地域における公共交通をどう考えていくのか、都市施策とも連携して進めていく話になっているので、今後の動きも要チェックです!私も個人的に興味のある動きなので、どのように動いていくのか、チェックしていきたいと思っています。

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

観光立国

観光立国は、コロナを経て、また施策として復活してきたなという印象です。インバウンド回復や観光DXなどが取り上げられていますね。技術士試験では取り上げられづらい分野かもしれませんが、国土交通行政の打ち出しの一つですので、頭の片隅に入れておいても損はないでしょう。

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

新たな国土形成計画

2023年夏ごろに策定が予定されている「新たな国土形成計画」に関する動きも押さえておきたいところ。夏ころ策定ですので、R5年度の試験には出ないかもしれませんが、論文試験の準備にあたっては外せない観点だと思っています。
・デジタルとリアルが融合した地域生活圏
・グリーン国土の創造
・持続可能は産業への構造転換
・人口減少下の国土利用・管理
といった重点テーマは内容を理解しておくと、論文試験の背景や課題の入り口部分の記述に使えるネタだと思いますので、しっかりと確認しておくことをオススメします!

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

多極連携型まちづくり

都市計画関係の専門の方は馴染みがあるかもしれません。立地適正化計画と地域公共交通計画を連携させて、ウォーカブルなまちづくり、ネイバーフッドの考え方などが提唱されています。
これまでの都市施策、立地適正化計画をどう定量的に評価するのか、都計審でも議論がなされているところですが、それについて深く考えてみることも良いかもしれません。well beingなども最近よく言われているところですが、具体的に何なのか、考えてみると面白い気がします。

(出所:https://www.mlit.go.jp/page/content/001580221.pdf)

まとめ

予算決定概要、読んでみていかがでしょうか?今後深堀りして勉強していくネタが散らばっているように思いませんか?なかなか最初から全てを読もうと思うとボリュームがありますが、コラム的なところに集中すればそんなに時間のかからない文書だと思います。
このような省全体のものと、各局の予算概要、各局の検討会や審議会を深掘りしていくことで、かなり理解が深まっていくと思います。
毎年、トレンドばかりが出題されるわけではないですが、ある程度の傾向はあると思っているので、皆さん今年の勉強を始める際のきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

資格官僚,必須,技術士,河川

Posted by SK