夏季休暇 官僚から転職すべきか悩んだら

悩んでいても仕方がない

いろいろと時間に余裕があると悩む方も多いのではないでしょうか。自分の将来のこと、家族のこと、仕事のことなど悩みは様々だと思います。

今回は悩んだ時はまず行動してみることをオススメします。ただし、役職(本省補佐級以上)においては転職活動においてもかなり制限を受けるので要注意です。例えば、転職エージェントに話を聞くだけでも意味があると思います。

転職活動をすると、『世の中こんな仕事もあるんだな』とか『こういう人材需要が今はあるんだな』といった『外の世界』を感じることができます。特に官僚の世界にいると、どうしても特異な霞が関文化に染まってしまうことも多く、外の世界が新鮮に感じることも多いでしょう。

ただ、『隣の芝生は青くみえる』というだけかもしれず、しっかりと『この業界・業種でこういうことがやりたい』と思えなければ、無理して転職する必要は無いと私は思っています。

官僚の仕事には魅力も多く、立場を利用すればあらゆる情報も入手しやすいため、『やろうと思ったらいくらでも周辺情報や社会課題を入手して、制度の変更などを考えることができる』のは物凄い魅力だと思います。民間に来た当初感じたのは、情報へのアクセスがやはり官僚時代より難しいな、ということでした。

官僚としての魅力も一度外に出てみないとわからないかも

私が最近感じていることです。最近、総合職として入省希望者が減ってきているニュースをよく見ますが、ネガティブ情報ばかりが世の中に流通しているからだと思っています。そして、官僚の魅力を伝える情報が世の中にあまりにも伝わっていないこともあるかと思っています。

もし、世の中のための政策立案を考えたいという場合は、公共分野のコンサルという選択肢もありますが、官僚の選択肢も捨てがたいものと思います。

民間と比較した官僚の魅力としては、

  1. 公的な機関として、非営利で国をよくするための政策立案に携われるため、あらゆる情報入手が容易であること
  2. 実際に政策決定過程を体験することができること
  3. 制度の拡充や新規事業創出などを『自分がやった』といえること
  4. だいたい2年ごとに異動があるが、主体的に本気で取り組めば2年でその分野で専門的な知識を得ることができ、実は成長速度は早いこと
  5. 営業ノルマなどに左右されずに、純粋に国の将来について考え続けることができること

などがあるでしょう。

確かにコンサルも公共分野であれば、お客さまである官公庁の皆様に伴走支援していく形になるので、その意思決定に絡むことはできますが、『最終的にどうやって意思決定がなされ、外に打ち出しがなされるのか』まで踏み込める機会は少ないと思っています。

民間にはもちろん民間の魅力も

民間における1番の魅力、それは『所管分野に捉われないアプローチが可能であること』だと思います。

各省庁各局で縦割りな行政ですが、今は社会課題が複雑化し、縦割では解決できない課題も多い気がしています。そこに風穴を開けることができる可能性に楽しみがあると言えるでしょう!

私も役人時代を振り返ると、外の業界外の情報、世間の動きへの関心が低く、視野の狭い・視座の低い小役人であったことを反省しつつあります。今、一度外の世界を知った上で施策立案するなら、違った観点から施策背景・課題を持ってきて、省庁連携施策を打ち出すこともできるだろうなと感じています。

視座を高めるための官民交流人事活発化はアリでは?

民間でも個別の事業会社というよりは、視座を高めることができるような会社と交流人事を活発にすることで、官僚の視座も一段上がり、より高度な施策立案に繋がるのではないかと思っています。

今は官民双方の知恵を結集しなければ、日本の成長はないでしょうし、人口減少とともに徐々に衰退していくのみでしょう。

DXやGX、人への投資などセリフは踊りますが、まず霞が関の足元の人材基盤をしっかりと固める施策も喫緊で講じなければ、このまま人材流出過多になり、残念なことになってしまうのではと懸念しています。

あらゆる施策立案に最初から関わり形にすることができるのは官僚の魅力で昔から変わらないと思いますが、今一度、日本社会の社会課題解決のための選択肢として『官僚』もあり得るという状況になることを望みます。

働き方がブラックなのは定員削減や採用抑制世代を作ったことも一因!?

昔に比べ、本省補佐になっても係長と変わらない仕事もやらざるを得ない環境にあると思います。昔は普通のピラミッド構造が維持できていたようですが、今は上が大きくなり、下が少ない逆ピラミッドに近い雰囲気を感じています。

これだと役職が上の方も大変で施策立案の余裕すら無いでしょうし、中堅・若手も目の前の瞬間対応業務だけで忙殺され生き甲斐を失いかねないでしょう。

人口減少社会であり、若手が減っていく構造ではありますが、少しでもこのいびつな年齢構成を正しくできるような政策を政治家も課題と認識して、改革を断行してもらいたいと思います。

見ていると一人当たりの作業量が膨大すぎて、将来のために頭を使う余力など一切中堅・若手には無くなっているようにみえるのです。

諸先輩の昔話を聞くと、夜遅くに政策議論を活発にしたりする場面が多くあったと聞くこともあります。そのようなストレス発散にも繋がる頭の体操が出来ない状況の早期改善が迫られているのだと思います。雑談の中から意外と良い施策が生まれたりもするでしょうから。

とりあえず壊れる前に行動を

何はともあれ、自身の心身の健康が一番大事なことは言うまでもありません。進路の悩みは周りにも相談できないことが普通でしょう。そんな時は勇気を出してとりあえず行動してみると良いでしょう。

外の空気を吸うだけで間違いなく意味があります。自分の人生の優先順位を考えつつ、幅広い選択肢の中から働き方・生き方を模索していきましょう!