R5年度技術士(建設部門_河川)(3)勉強法〜水害リスクマップ(浸水頻度図)~

水害リスクマップ(浸水頻度図)、多段階の浸水想定図とは

「水害リスクマップ(浸水頻度図)は、多段階の浸水想定図(発生頻度は小さいものの浸水範囲が広い大規模な洪水や、浸水範囲は狭いものの発生頻度が高い小規模な洪水など、様々な規模の洪水の浸水想定図)を重ね合わせたものであり、今回開設するポータルサイトでは、全国の国管理河川の水害リスクマップと多段階の浸水想定図をまとめて確認することができます。」
とされていますね。
これまでなかなか発生頻度の高い浸水想定は出していなかったところですが、水害リスクマップにより、単なる最大浸水深を図示したハザードマップから、より発生頻度も考慮したハザードマップなどへの展開、住民へのリスク周知、適切な避難準備行動等につながることが期待されますね。

(出所:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001578122.pdf)

技術士試験の回答作成への活用

ソフト対策を記述する問題が出た際、具体的に水害リスクマップの取組を記載できるように準備しておくと心強いと思います。センサー関係も重要ですし、新たな技術を用いたDX施策も重要だと思いますが、ハザードマップに繋がるような新たな施策でわかりやすく水国局としても打ち出している『水害リスクマップ』は活用法も含めて具体的に論述できるようにしておきましょう!

実際に水害リスクマップを見てみる

構成

とはいえ、実際に水害リスクマップがどういうものなのか、見てみないとわからない方も多いかと思います。
まずはどんな構成で作成されているかを確認すると
『水害リスクマップ』は浸水深0.0m以上(浸水あり)、浸水深0.5m以上(床上浸水相当)、浸水深3.0m以上(一階居室浸水相当)の3パターン
『多段階の浸水想定図』は、降雨規模別で1/10,1/30,1/50,1/100,1/150,1/200
で公表されているようです。

(出所:https://www.mlit.go.jp/river/kasen/ryuiki_pro/risk_map.html)

荒川下流(関東)の例

早速、荒川下流の例でみてみましょう。

水害リスクマップ

まず河道条件としては現況河道でのシミュレーションであることはしっかりと把握しておきたいところですね。
そして、例えば浸水深0.0m以上では以下の図のようになるようです。
色が濃い紫にいくほど発生頻度が高いということがわかります。ここで見ると埼玉の入間川周辺が紫色になっていることが一目でわかりますよね。確かに令和元年の台風でも被災していたような記憶があります。やはりリスクの高いところだったんですね。
それと意外と東京でもリスクが高い地域があり、それが葛飾区のように見受けられます(1/30程度)。
江東5区の中でも地域で差があることがわかってきますね。
ただ、これはあくまでも『国管理河川』からの氾濫なので、都道府県管理河川からの氾濫は加味されていない点も留意する必要があるでしょう。
実際に住民に周知する際の使い方がまた難しくなってくると思いますが、直轄管理区間からの大規模氾濫を想定した際、リスクの高低がわかるという点でこれからの住まい方に変化が出てくるかもしれません。

(出所:https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000838167.pdf)

多段階の浸水想定図

次に多段階の浸水想定図をみていきましょう。例えば1/30を見てみると以下の図のように示されています。
先ほど見ていったように、入間川沿川、葛飾区の一部に色がついていることがわかります。
このあたりは比較的リスクの高い地域であることがこの図からもわかりますね。ここでは深さもわかるので、入間川の沿川で1/30規模の降雨であればどれくらいの深さの浸水が想定されるのか、わかってきます。

(出所:https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000838177.pdf)

まとめ

技術士建設部門二次試験(河川)では、間違いなくソフト対策も問われてきます。
抽象的に回答を作成するのではなく、実際の施策をもって回答を作成していくことが、高評価を得るためには必須だと思っています。皆さんも勉強する際には、時間のある今のうちに、深掘りできるところは一度調べておくなどして整理しておくと良いと思います。そして、直前にもう一度見直すことで、試験当日も自分の言葉で、施策の必要性や課題、解決策を論述できるようになるのではないかなと思います。
ご参考になれば幸いです。