【分析】公共工事と選挙結果〜見直された『建設工事受注動態統計調査報告(令和3年計分)』使ってみた〜

2022年2月14日

分析主旨・概要

国政選挙、皆さん行っていますか?今年は参院選挙がありますね!選挙に行って意味があるのかなと思っている方もおられるかもしれませんが、国民の権利ですので、しっかり権利は行使すべきと私は考えています!

選挙結果がどのように公共投資に影響しているのか、そもそも影響あるのか否か、気になったので分析してみました。

そこで、統計不正問題を受け、令和4年2月10日に公表された『建設工事受注動態統計調査報告(令和3年計分)』と『令和元年参議院選挙結果』、『都道府県別人口』の各種データを用いて、比較・検討してみました!

統計不正問題

『建設工事受注動態統計調査』の統計不正問題が話題になりましたね。

検証結果報告を読むと、元官僚として少し切なくなりました。

私が気になったのは、以下の表現でした。

① 業務過多の解消
本件各問題の背景には、本件統計室における慢性的な業務過多があったものと考えられる。そして、その業務過多は本件統計室への所属人員の数の問題ではなく、必ずしも十分に業務を遂行できない職員も配置されていた結果、一部の職員に業務が集中するという形で生じていたものと考えられる。そのため、見せかけ上の所属人員の数ではなく、業務を遂行するために必要十分な数の人材が適切に配転されるという形での人員配置を行い、業務過多の解消を行うことが必須と考えられる。また、上記のような過去の人員配置の背景には、人事政策における統計業務の軽視があるように見受けられるところ、統計業務の重要性を認識した上での人員配置がなされるべきである。

「建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会」の報告書について
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001459557.pdf

やはり厳しい定員管理・削減がなされる中、新しい政策を生み出す方に力が入り、例年の定常業務には人材配置的にも力を入れられない現状にあるのだと実感しました。

他にも生々しいやりとりがわかる検証結果報告書でしたので、ご興味ある方は一度ご覧になってくださいね。

公共受注工事請負契約額ランキング

建設工事受注動態統計調査報告(令和3年計分)から、どの都道府県に対する公共事業投資が多かったのか、ランキング形式でまとめました!

黄色がトップ10、灰色が下位10です。

これをみると、何となくですが、都会・北海道・福島で多く、地方で少ない傾向に見えますね!

一人あたりの公共受注工事請負契約額ランキング

次に、人口一人あたりの公共受注工事請負契約額をみてみましょう!都道府県別人口については、令和2年国勢調査結果を使用しました。

黄色がトップ10、灰色が下位10です。

すると、見え方が違ってきますね!

一人当たりの請負契約額は、人口の比較的少ない地域で大きく、逆に都会で少ない傾向がみられます。

令和元年参議院選挙 比例代表 与党得票率ランキング

今、与党は自民党と公明党ですので、与党の得票率を都道府県別でまとめてみました。

データは、総務省|令和元年7月21日執行 参議院議員通常選挙 速報結果 (soumu.go.jp)を用いました。

黄色がトップ10、灰色が下位10です。

与党得票率ランキングを見ると『西高東低』という感じでしょうか。与党が強いところは、与党の有名な政治家のいる県のイメージですかね。

選挙結果と一人当たり公共受注工事請負契約額の関係は?

『参院選与党得票率ランキング』と『一人当たり公共受注工事請負契約額ランキング』を並べてみました!

果たして、関係性があるとみるか、無いとみるか、難しいところですね。

政治・選挙というよりは、公共工事の場合は、各種公共施設整備率個別事業の進捗状況、災害発生状況の影響が大きいのかもしれません。

『参院選与党得票率』と『一人当たり公共受注工事請負契約額』を散布図で見てみます

散布図を見ても、明確な関係性は無さそうです。

まとめ

今回、与党得票率と一人当たりの公共工事請負金額それぞれのランキングを比較してみましたが、有意な関連性は無さそうですね。(ただ、このような見方をやってみた、というだけで結果が出なかったのは、少し残念でした)

選挙は当選・落選結果を中心とした報道がなされますが、各都道府県の得票率を見てみると面白いと思いますので、興味のある方は引き続き着目していってもらえると良いかなと思います。

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