中堅以上の社会人にオススメ!『日本の論点 2022~23 大前研一著』を読んで

2022年5月24日

視野を広げるために一読を!意識が変わる!

私自身、社会人になってから官僚という縦割組織で10年ほど育ったこともあり、どうしても所掌を気にしたり、視野が狭かったりしてしまうクセがあると認識しています。

本来、官僚であれば外へのアンテナを高く持ち続け、社会課題を解決するためにあらゆるアイデアを制度に反映していくべきでしょうが、私にはその余力が全く無い状態で日々の業務をこなしていただけな気がしています。非常にもったいない体力の使い方、精神の擦り減らし方をしてしまったと後悔しています。

しかし、そんな私も今は民間人となり、視野を広く、視座は高くもって物事を見ることができなければ、会社のためにも世の中のためにも働くことができない状況になりました。

このような個人的な問題意識を踏まえ、今回、大前研一氏の著作『日本の論点2022〜2023』を読んでみることとしました。

大前研一氏の意見が全て正しいかはさておき、視座の高さ、着目点にはハッとさせられる部分が多く、また非常に読みやすいので、オススメです。今回は私が特にハッとさせられた部分について、ご紹介したいと思います。

全体を通して感じたこと

本書全体を通して感じたこととしては、

  1. 日本の教育について20世紀型であり、今後21世紀の日本の成長には期待ができない教育になってしまっているという危機感
  2. 世界に目を向ければ、これまでどうしても欧米を中心としたモノの見方が定着してしまっているが、中国やアラブ地域などの視点で見ると世の中の動向が違って見えてくる

の2点である。

1点目 国内の人材育成について

私くらいの年代の中年が教育を受けた子供の頃を思い起こすと、確かに本書で記されている通り、『20世紀型の教育を受け、詰込み型の内容を勉強して受験をし、偏差値高い大学進学し官公庁や民間企業で年功序列・終身雇用で働くことが良いこと』とされた意識を持たされた世代といって良いだろう。

就職活動においても自己成長などというよりも、大企業や官僚になることを目指していた人が多く、起業するといったマインドの人は本当に周りにいなかった印象である。

しかし、今となっては、従来型の同じ組織で長い時間をかけて役職をあげていき、終身雇用で定年まで勤めるといったロールモデルは崩壊しつつあると感じている。

私自身、事情もあり、『官僚という年功序列・終身雇用』の最たる組織を辞め、まさに民間企業で『実力が給与・待遇に反映される』組織で働き始めているので、身をもってその変化を体感している。

だからこそ、大前研一氏の主張には非常に同意する部分も多い。1人1台のPCを導入し始めた日本が、周回遅れの教育政策を取っていることについては本当に賛同する部分も大きい。

一般社会に出て、民間企業で働いてみて、外での競争社会に生きてみると、これまでの昭和的な教育において不足していることを体感してしまっている。残念ながら私は、社会人の第一歩も官僚という選択肢を選び、保守的で超昭和的な考え方で生きてきてしまったので、『今の時代』への対応に苦慮している状況というのが正直なところである。

今の会社の20代の本当に優秀な若手社員たちを見ていると、当たり前に英語を操り、プログラミング言語等についてもある程度の基礎知識として知っており、新たな技術にも柔軟に対応していくことが容易にできているように見えてしまう。彼らも新たな知識習得に時間をかけているのだろうが、知識・実力・応用力が私たちの学んだ時代の『優秀な人間』とは段違いであると感じている。

特に昨今、コンサルティング業界が学生などに人気があるため、今の会社には特に優秀な人材が集まってきている印象はあるが、正直、私が今後、今の会社でどのようなキャリアパスを描いていけば良いのか、私の強みを活かしながら新たなことにチャレンジし続けられるのか、不安は大きい。

自身が活躍できるかできないかはさておき、優秀な若手社員の方々と一緒に働くことでいろいろと教えてもらいながら、何とか対応していけるようになりたいと思っている。やはり、今の私の環境は、自身の将来的なキャリアパスを見据えても非常に恵まれていると実感した。

2点目 欧米以外の視点

本書の海外編を通じて、実感したこと。それは、私がこれまであまりにも欧米目線でしか物事を捉えられていなかったんだということである。

本書海外編のイントロダクションでも触れられているのだが、『国家観』『人種』『宗教』といった問題について、基礎的な知識として知っておかなければ世の中の動きの事実を見誤りかねないということに気付けたことが私にとって目からうろこでもあった。

今の中国における台湾有事(台湾統合)の動きは、もともとアメリカのニクソン・キッシンジャーの政策誘導により引き起こされている事実や、『アラブの春』といった民主化運動もアメリカが誘導したが反米政権が設立すると親米政権へと転覆を謀ったりしたことなど、『何事もアメリカ目線が正しい』という印象を持ってしまっていた私の認識が大きく変わるきっかけを本書は与えてくれた。

経済的な観点をみると、やはり中国のアリババグループの決済システムがあらゆる個人情報を紐づけて個人の格付けまでしており、世界的にも驚異的なシステムを既に構築していることなど、恥ずかしながら本書で初めて知ることとなった。

本書を読み進めていくと、中東の新しい地政学として「イスラエルVSアラブ」だけでは読み取れない現状なども大変興味深い内容であった。台湾とイスラエルに共通する、人材育成についても非常に興味深く読むことができた。

特に昭和的教育・価値観で育った中堅社会人にぜひ読んでもらいたい章

本書は、欧米に追い付け、追い越せといった昭和的な価値観で、日本は世界第2位の経済大国などといった昔の価値観の中で育ち、なかなか新しい視点を持てない『中堅の社会人』の方にぜひ手に取っていただきたいと感じている。非常に高い視座を得られる面白い本である。

そこで時間の無い中でも特に読んでもらいたい章について、ここでは紹介したいと思う。

【国内編】

  • イントロダクション
  • 03 コロナ収束後、日本企業の人事制度や求められる人材はどう変わる
  • 04 「答えのない時代」の人材の育成には、「私塾」が必要だ
  • 06 日本のシステム開発が失敗ばかりを犯す根本原因とデジタル庁の課題

【海外編】

  • イントロダクション
  • 01 アメリカ大統領選の結果が示す分断国への構造的変化
  • 03 米中対立でにわかに高まってきた「台湾有事」の元凶はアメリカの外交政策だ
  • 06 中国三人っ子政策導入からも読み取れる習近平の遠大な野望とは
  • 07 中国最強企業アントグループが持つ金融事業の破壊力
  • 09 「イスラエルvsアラブ」だけでは読み取れない、中東の新しい地政学
  • 10 「危機感」「語学力」「理系重視」「スマホセントリック」イスラエルと台湾が持つ4つの強さ

以上の章は特に私が読んでみて面白かった章である。

特に人材育成については、自分自身の生き方の参考にもなる事項が多々触れられており、すぐにでも自身の行動に移したいと感じることができた一冊であった。

日々、大変忙しい生活を送っている方も多いと思いますが、ぜひ手に取ってみていただきたい。

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