R4年度技術士二次試験(建設部門-河川)の出題分析

2022年8月6日

予想は当たったのか?

技術士2次試験の記述試験が終わりましたね。受験者の皆さま、大変お疲れさまでした。

本稿では、これまで出題予想をしてきた技術士二次試験の必須科目と専門科目(河川)について、結果として予想が当たったのか否か、まずは整理していこうと思います。

過去の予想記事はこちら↓
【予想】R4技術士(建設部門)勝手に出題予想(2)〜『河川』出題予想!〜 | うつ×育児×転職×元官僚×技術士×ダム (ikujiojisan.biz)
【予想】R4技術士(建設部門)勝手に出題予想(5)〜『必須科目』出題予想 〜 | うつ×育児×転職×元官僚×技術士×ダム (ikujiojisan.biz)

必須科目

Ⅰー1(当たり!)

Ⅰー1は予想通り『DX』でしたね!

インフラDXアクションプランなど、技術調査課のインフラ分野のDXに関する全体像の把握と各分野の個別施策の課題と解決策、懸念事項などの頭の整理をしておけば、対応できた方も多いかと思います。

※私の解答骨子は以下の記事
【解答骨子】R4技術士(建設部門)勝手に出題予想(8)〜必須『インフラDX』〜   | うつ×育児×転職×元官僚×技術士×ダム (ikujiojisan.biz)

なお、出題された実際の問題文は以下の通り。

(出所、日本技術士会HP、https://www.engineer.or.jp/c_topics/008/attached/attach_8855_1.pdf、令和4年8月6日閲覧)

Ⅰー2(当たり!)

Ⅰー2は、こちらも予想通り、『カーボンニュートラル』でしたね。

国土交通グリーンチャレンジ、国土交通省環境行動計画を背景にした問でした。
旧建設系の施策だと建設機械やグリーンインフラで解答した方も多かったのではないでしょうか?
旧運輸系の施策の方が、物流面などの施策でわかりやすい効果で書きやすかったかと思います。

旧運輸系が専門の方はこちらを選んだ方も多かったのではないでしょうか?

※私の解答骨子は以下の記事
【解答骨子】R4技術士(建設部門)勝手に出題予想(9)〜必須・専門河川共通『脱炭素・カーボンニュートラル・グリーン』〜   | うつ×育児×転職×元官僚×技術士×ダム (ikujiojisan.biz)

なお、出題された実際の問題文は以下。

(出所、日本技術士会HP、https://www.engineer.or.jp/c_topics/008/attached/attach_8855_1.pdf、令和4年8月6日閲覧)

専門科目(河川)

Ⅱー1(はずれ!)

『河川Ⅱー1-1』について、L2、L1の浸水想定の出題がなされるとは、想定していませんでした。

どちらかというとハードよりの「河川の基本的な出題」がなされるかなと思っていたところ、Ⅱー1でこういうソフトの施策的な(2つの外力の浸水深及び区域の用途)要素で聞かれたので、予想が外れた方も多かったのではないでしょうか?
準備はできていなくても、日頃からソフト施策を検討している方は非常に答えやすい問とは思いますが、1枚にまとめるところが難しいかなと思いました。

『ダムⅡー1-2』について、こちらは総合点検における純技術的な出題でしたね。こちらも予想は外れてしまいました。私はダム管理を経験したことがないので、専門的な部分に詳しくないため詳述は控えます。

なお、実際の出題文は以下。

(出所、日本技術士会HP、https://www.engineer.or.jp/c_topics/008/attached/attach_8855_5.pdf、令和4年8月6日閲覧)

Ⅱー2(半分当たり!)

Ⅱー2-1(ハード)は外れ、Ⅱー2-2(ソフト)は当たりという感じでしょうか。

Ⅱー2ー1は例年ハードについての出題がなされるところですね。

今回は地震後の被災状況把握や応急対策に係る問でした。これは予想できませんでした。流域治水型の災害復旧などは想定していましたが、中核都市の直下型の巨大地震対応という結構細かい設定の出題がなされるとは思いませんでした。

これを選択して解答できたのは、国の出先機関(局・事務所)で災害対応演習に従事した経験がある方くらいかなというのが正直な感想です。応急措置に係る関係者との調整などはまさに実際の災害対応演習でやる部分ですし、それに向けた準備もいろいろとシナリオを考えて対応するので、たまたま主体的に経験したことがある人はラッキーだったのではないかなという印象を持ちました。

Ⅱー2-2は例年ソフトについての出題がなされるところですね。

今回は水害又は土砂災害から避難するための備えと留意点という、ソフト対策の基本的な出題でした。

流域治水の考え方やハザードマップ、水害リスクライン、マイタイムラインなどの施策を把握していれば十分に対応できたでしょう。ただ、(3)の講習会での説明をより効果的なものとするための関係者との調整方策については書き方が少し難しかったかもしれません。今はやりの3D都市モデルを用いて3次元で説明することで関係者調整においても、より具体的に被災イメージを共有できるなど、が解答の仕方だったのではないでしょうか?

なお、実際の出題文は以下。

(出所、日本技術士会HP、https://www.engineer.or.jp/c_topics/008/attached/attach_8855_5.pdf、令和4年8月6日閲覧)

Ⅲー1(かすり!)

私としてはⅡで予想していた『防災まちづくり』がⅢで出題されました。立地適正化計画に基づく防災指針について勉強していれば、難なく答えられた方も多かったのではないでしょうか。

河川や砂防というよりは、都市的な要素を多分に含む出題であり、さらに下水(内水)の分野にまで問題範囲が広げられているところに、イレギュラーな感じを受けました。また、Ⅲは比較的流行に沿った出題がなされると思っていましたが、このような比較的普遍的な問がなされたところに意外な感じも受けました。

なお、実際の出題文は以下。

(出所、日本技術士会HP、https://www.engineer.or.jp/c_topics/008/attached/attach_8855_5.pdf、令和4年8月6日閲覧)

Ⅲー2(はずれ!)

Ⅲー2は、まったく予想できなかった事業評価手法に関する問でした。

最近の事業評価手法に関する問題意識、特に効果(便益+定性的なもの)に関する問題意識については把握していなかったので、私にとってこの問は非常に答えづらいものでした。

感覚的には近年水害でも多数の死者が発生する大規模出水が生じていることから、河川事業の事業評価の便益計上項目を見直す必要はあるのかななどと思いますが、河川の事業評価を実際に担当していた頃から数年が経ってしまっているので自信はまったくありません。今回の出題内容であれば間違いなくⅢー1を選択していたことと思います。

なお、実際の出題文は以下。

(出所、日本技術士会HP、https://www.engineer.or.jp/c_topics/008/attached/attach_8855_5.pdf、令和4年8月6日閲覧)

まとめ(令和5年度に向けて)

技術士試験は『経験』も重要ですが、しっかりと事前に勉強しておくことも重要だなと改めて感じたところです。

だいたい対策をしていたとしても、1問は勉強内容から想定していなかった問題が出て、自らの経験をベースに当日の試験会場で考えるようになると思われますが、1問はぎりぎりA評価でも十分だくらいの軽い気持ちで受験してみると、試験自体を面白く感じることができるのではないでしょうか?

このような試験には若いうちから慣れておくことが本当に重要だと思いますので、試験を受けられるようになったらぜひ受験していくようにしましょう。受験費用は高いですが、価値のある資格だと思います。毎年準備するだけでも大変ですが、そこで勉強した最新の施策動向等はきっと実際の業務でも直接役に立ってくるものと思います。

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もし、今回落ちてしまったとしても、めげずに挑戦していきましょう!

【R5年度 対策はこちらから↓】
R5年度技術士(建設部門_河川)(1)勉強法〜令和5年度水管理・国土保全局予算決定概要〜 | うつ×育児×転職×元官僚×技術士×ダム (ikujiojisan.biz)