【就活生へ(4)】国家公務員(一般職・技術系) 県・市町村との違いって?(元官僚の私見)

2022年3月15日

素朴な疑問!結局、国と自治体って何が違うの!?(技術系)

今回は就活・転職を考えておられる技術系の方に向けたお話をしたいと思います。

皆さん、就職先・転職先を考えた時、何が自分にとって良いのか悩むことは多いと思います。

公務員志望者の疑問の一部は、結局、国・県・政令市・市町村の違いってなんなんだろうか?ということでしょう。

なんとなく、官僚(総合職)と国家公務員一般職・自治体は違うだろうということは雰囲気で感じるところもあるでしょうが、なかなか同じ地方同士だと違いがわかりづらい部分も多いはずですよね。

あくまで私見ですが、、、

そこで、私が地方に出ていた時、学生達によく説明したりしていたのですが、実際に国家公務員一般職(旧Ⅱ種、Ⅲ種)の方々と日々仕事で一緒に汗をかきながら過ごした経験から、『国家公務員一般職・技術系(地方支分部局)』と『県・政令市』『市町村』の違いをご紹介できればと思います。

地方にいた時は、県の方や市町村の方とも色々とやりとりをした経験も踏まえてお話します!

もちろんそれぞれの組織にメリット・デメリットはありますし、あくまでも私の所属していた省庁の目線からみた私の個人的な見解ですので、ご了承下さいね。※組織的な見解ではなく私見です。

では早速、国家公務員一般職・技術系(地方)と県・市町村との違いに着目してご紹介していきましょう!

転勤

今の時代、やはり『転勤』ということが一つの重要な指標になっているでしょう。

県でも異動に伴う県内の引越しはあるでしょうが、国の地方支分部局となると、例えば関東地方や東北地方といった範囲内での異動・転勤が基本的にはあります。

もちろんライフイベントや個人の希望を伝える場面もあるので異動の考慮はなされますが、市町村の職員のようにずっと同じところに住み続けるという人生はなかなか難しいのが現状でしょう。

転勤にも大きなメリットが!

『転勤』というとネガティブな印象を持つ学生さんも多いと思いますが、やはり『様々な地域の現場を経験できること』は自分の成長に本当に繋がります。

地域の方々に対して説明する上でも、東京など大都市から出張でふらっと来た人より、普段から接点のある実際にそこに暮らしている人間が説明した方が説得力がありますよね!

私の専門は特に現場あってなんぼの世界ですので、いくら霞が関で決まったことでも現場で出来ないことやデメリットのあることはなかなか社会実装まで至らないのが実態でしょう!

転勤を通じて、良い施策の横展開が出来る!

ある県や市町村で出来た良いことを、違う現場でも導入できたりすることもメリットですね!

国の視点でモノを見る癖(他現場等との横並びなど)が嫌でもつくので、現場の事務所に出た時にもその視点は役に立ちます!

国の大きな動きをしっかりと把握して市町村に助言したり、他自治体の現場の好事例の横展開を紹介できたりする経験を経て、個人としても成長できるのが魅力でしょう。

暮らしも官舎があるから大丈夫

暮らしも不安視する方が多いかと思いますが、官舎があるので大丈夫です。

もちろん官舎に入らずに民間の賃貸も可能です。ちなみに私のいた時代は、民間賃貸の半額(ただし、最大27,000円/月)の補助が出ていました。東京で賃貸だと結構持ち出しが多くて厳しいですが、地方であれば補助をもらえるとありがたい金額だと思います。

隠れた転勤のメリット

小規模自治体等の役場で働くことになった場合『もし合わない人と一緒だったらずっと一緒』という事態になるかもしれません。特に技術系だと採用職種としてマイノリティでしょうから、ずっと合わない先輩職員と一緒の可能性もあるのではないでしょうか。

一方、国の地方支分部局は、組織が大きく勤務先も多々あるため、合わない人と一緒でも2年我慢すれば環境が変わるのが当たり前なので、耐えられるといった話を聞いたことがあります。

ネガティブに聞こえるかもしれませんが、働いてみて感じるのは、『周囲のどんな人と働くことができるのか』『どんな環境で働くことができるのか』が相当重要であったということです。この点、組織が大きいことは長く働く上でメリットでしょう!

転勤で引越し貧乏に?

だいたいの国家公務員一般職・技術系(地方)の人事異動は4/1であることが多いですが、引越し代が馬鹿になりません。。。引越しの繁忙期で値段が相当高いんですよね。

今は違うかもしれませんが、私も4/1異動が多かったので、結構引越し貧乏になりました。単身だったら赤字にならないでしょうが、世帯だとなかなか厳しく、正直そこは諦めてましたね。

扱う事業規模が違う!経験も違ってくる!

次にご紹介するのが、『扱える事業規模が違う!』ということです。

やはり国の事業となると、例えばたった10年で三陸沿岸道路(復興道路・復興支援道路)をつないだり、複数県にまたがる流域を持つ大河川に多目的ダムを作ったり、また老朽化した重要インフラを維持管理したりなど、魅力的な仕事に携われます。

ここは特に市町村と大きく異なるところでしょう!市町村だと技術系職員がそもそも少ない上、小規模工事の発注や苦情処理で忙殺されていると聞いたことがあります。

一方、国の地方支分部局ではちゃんと組織体制もしっかりしているので、工事や業務に比較的じっくりと向かい合うことができるメリットがあると思います!

国工事・業務を請け負う業者さんも尊敬出来る方が多かった!

それだけ重要施設を扱うことにはなるのですが、国の工事や業務を請け負う業者さんも立派な方が多いので、業者さんからも凄く学ぶことができ、成長できたことは、入省してみてわかったことでしたね!

やはりプロフェッショナルな方々と一緒に仕事ができると、つらい場面も多いかもしれないですが、自分の成長には間違いなく繋がります!

しかも、一応若手でも発注者なので、受注者から怒られることはなかなか無いですね。もちろん苦言を呈されることはよくありますが、そこはしっかり業者さんと意思疎通して解消していけば、いろいろな知識をいただけることもありました!本当に勉強になりました!

キャリアパスの違い・専門性が身につく!

ここは主に県との違いになってくるかなと思います。

例えば県では技術系で入った場合、道路や河川、港湾、海岸などを渡り歩くキャリアパスだと話を聞いたことがあります。

一方、私のいた省庁の地方支分部局では『一つの分野(道路や河川、港湾など)に軸足を置いたキャリアパス』を歩むことができます。その分野で調査・計画・工事・管理などを経験してエキスパートになっていくことができます。

『広く浅く』というよりは、『狭く深くじっくり』と専門性を磨くことができるのは、国家公務員一般職・技術系の魅力ですね!

悪く言えば縦割り感が強いとも言えますが、やはり『何か困った時に自治体から回答を求められるのが国』ですから、それなりに専門性が高くなければなりませんよね。感覚的には10年ほど勤めれば5ポストほどを経験するので、だいぶその分野に詳しくなれるはずです!

そこまで専門性の高いわけではない地元のことも詳しく知らないキャリア(総合職)がポッと地方に出ても現場がうまく回っているのは、このような一般職のエキスパートが現場を支えているからですね!

なんだかんだいって『最後は国頼み』

県や市町村は国への要望をする機会が非常に多いです。それは予算補助や基準関係は国で決めているからです。

予算については、県・市町村の事業であっても国費の補助が入っている事業が多々あります。(1/2補助、1/3補助などが多い印象)県や市町村の単費でできる事業は予算も限られており小規模になりがちでしょう。

そのため、国費補助をもらうための要望活動などを展開しているのが実態です。

また実務担当者レベルでも、法解釈や運用の解釈に悩んだ県などから、質問がくることがあります。『国がこう言っている』という回答をする必要があるからですね!

『最後の番人的な責任のある仕事が多い』のも魅力だと私は思っています。(少し気負いすぎかもしれませんが)

国から自治体への転職の選択肢もある

若いうちにまず国家公務員一般職・技術系で入省して、ある程度経験を積んでから、ライフステージ等に応じて地方公務員に転職することも可能だと思います。

やはり国で経験豊富な人材は、その後の選択肢もそれなりにあると考えています。

実際に自治体に転職していった優秀な若手の方もおられましたね。なお、転職が決まった場合は早めに人事筋に伝えてあげましょう!人事も大変そうなので。

やりがいとワーク・ライフバランスを考えても入ってみなければわからない!

これは私自身が強く感じていることでもあります。働く前から明らかなブラック企業に突っ込んでいく必要はありませんが、お金を稼ぐということはどんなことでも大変なことだと思っています。

やりがいやワーク・ライフバランスを入社前、入省前からいくら考えても、『入ってみたら思い描いていたものと違うな』と思うこともあるでしょう!

とりあえず食わず嫌いをせずに、色々なところに顔を出してみたりすると、世界が広がって楽しいかと思います。もちろんそういうことが苦手な人もいるでしょう。苦手な人も興味あることを調べたり、話を聞いたりすることで楽しいなと思える瞬間があると思います。

やはり外の世界と繋がっておかないと、ガラパゴス化していき、偏った思想になりがちです。まさに霞が関でソルジャーとして鍛えられ続けた私がそうでした。

仕事は厳しいものですが、やはり偏ってしまうと判断を誤る場面も増え、軌道修正する柔軟さもなくなっていくように思います。転職活動でも学生時代からの友人でも、外との繋がりを大事にしていただければと思っています。

最終的に楽しめたもの勝ち

私の最近の持論です。

官僚という肩書きを捨て、メンタルもやられてしまった今、思うことですね。

もし今の会社をクビになっても、家族はいますし、『まぁ今後楽しいこともあるんじゃないかな』と思ったりしています。コロナが明ければ趣味のドライブとかもしたいですしね!

そうやって考えると就活や転職は人生の一部でしかないので、『とりあえず動いてみる』と良いのではないでしょうか?

価値観も多様化している現代において、公務員だったり大企業に勤めることが必ずしも良いことではないとも感じています。何かしら世の中のため、後世のために良いことをしていきましょう!それで十分です!

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